皆様、こんにちは。
さて、この「頑張る日記」は、皆様にマンション管理士の実際の姿をご紹介したいと考え、当事務所の開業以来これまでの間に体験をさせていただいた、特に印象が強かった出来事を元に、連載記事として再構成したものです。
そこで最初にお断りですが、この頑張る日記は、私自身の体験をベースとして文章を作成しておりますが、登場する団体や人物、出来事も特定のものではありません。あくまでも、事実を基にした創作としてお読みいただく頑張る日記でありますので、ご了解の程、お願いいたします。
では、早速第お話を始めてまいりましょう。
- お待たせいたしました。前回の続きをお話いたします。
規約改正チームのメンバーに明らかに疲れと挫折感が見え始めた頃のある日のことです。その日は、通常総会前に開催する「説明会」で説明する案についての詰めの打ち合わせをしていましたが、いつものどおり無味な時間が過ぎていました。この日は、平日でしかも夕食後の時間から始まりましたので、ふと時計を見るともう11時を過ぎていました。
女性のWさんが、ポツンと「先生、終電無くなっちゃうよ！」と言ったときです。これまでの打ち合わせでは殆ど自分の意見を言うことの無かったOさんが、堰を切ったようにしゃべり始めました。
「Tさん。うちのマンションのために、これだけ熱心に頑張ってくれている先生に我々はお返しをしなければいけない。Tさんの言っている難しいことは良く判らないけれど、反対のために反対するのは、もう止めてください。私もこれから規約改正のゴールまで気持ちを入れ替えて頑張りますから。」と。
事前に摺り合わせしていたのか、Wさんまで同じことを言い始めました。
いつも非協力的な態度を取るTさんと理事長のSさんは、暫しの間、呆然としていました。しかし直ぐに、Tさんが言いました。「判った。判ったよ。ここまでやってきたのだから、何がなんでも今度の総会で4分の3の賛成をとって、我々のやってきたことを成功させよう。」
S理事長は、無言でしたが心なしか、両目が潤んでいました。
そんな出来事があって以来、改正検討チームの雰囲気が、大きく変わりました。前向きに、積極的に、そして賑やかになりました。
そして予定した全ての改正作業を終えて、今日を迎えました。本当に後一息だ、と気持ちが震えます。
質問がいくつか出たものの、無事に今回の規約改正は可決されました。通常総会前の追い込み時に、議決権行使書も委任状も出していない住戸を、理事の方々が精力的に訪問して意思確認もしてもらえました。積極的になったTさんをはじめとする規約改正推進チームを中心として、理事会のメンバーも規約改正に協力的な姿勢をみせてくれるようになりました。あのスタートのときの様子を思えば、想像もできなかった変わりようです。
総会が無事に終了しました。あのTさんが、私の席に近づいて来ました。
「先生。本当にありがとうございました。今まで、いろいろと無礼なことばかり申し上げて済みませんでした。」と手を差し延べて、言われました。感動です。
しかし、その後が、もっと感動です。
「先生。これからもう一回勉強しなおして、マンション管理士試験を受けてみる気になりました。できたら、自分もマンション管理士になりたいと思えるようになりました。」
私は手を握ったまま、大きく頷きました。
「大丈夫ですよ。Tさんなら、きっと合格しますよ。」
この日、私はマンション管理士を職業としていて本当に良かったと、実感することができました。今回は真実、労が多かった規約改正でしたが、最後に報われました。
マンションの管理にご興味をお持ちの皆様、今回のお話は如何でしたでしょうか。規約改正は、本当に難しい仕事ですが、やり遂げたときにプロのマンション管理士としての醍醐味が味わえるのだと感じています。
その後の話しですが、私は、このマンションの月1回の理事会に出席して議事進行のお手伝いなどをすることになりました。
では、またお会いできますことを楽しみにしております。
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